●8月9日●

●短評・速報・一言

◆この前、家族旅行でスケートに行ってきたんですけども、前でこけた弟をよけ損ねて盛大に自爆。頭を打って気を失うという、藤子マンガのような展開を経験してしまいました。気を失う瞬間に良く「きゅぅーーー」とかいう擬音がマンガなんかに出てきますが、あれ、誇張じゃなくて本当なんだよねぇ。ちょっとびっくり。

◆おまけに、脳出血の恐れがあるからしばらく安静にしてなさい、なーんて言われるし、頭はもうガンガンに痛いし、誕生日目前だとゆーのについてないのねん。体中、あざだらけだしね。体力が無いことを痛感。たまには外に出て運動でもせにゃあなぁと。でも、自転車通学だから運動してないわけじゃないんだけど………

◆このよーに、22の誕生日(8月7日)は、さびしく迎えたという。プレゼントは巨大なたんこぶ!自分にご褒美!って感じ!

◆体が動かないならマンガを読むぞーというわけで(←さっきと言ってること違うし)、今月の新刊を買い込んできました。岡野史佳「君の海へいこう」、津田雅美「彼氏彼女の事情[2]」、ささだあすか「恋について語ってみようか[2]」。どれも大当たり。これまたメインレビューの棚に積まれることに。いつになったら待ち行列は解消するんでしょうねぇ。って他人事じゃない!

◆もはや雑誌速報でもなんでもないな………
■花とゆめ17号
遠藤淑子も山口美由紀も和田慎二も藤崎真緒も羅川真里茂も美内すずえもいない花とゆめが、これほどさびしいものだったとは、って思ってしまった。今回のメンバーに不足があるわけではないんだけど………。今回挙げた人以外でも、あと一歩で私の評価に入る惜しい作品が多いです。
◎ 天原ふおん「ミストルティンの魔法」
佳境というにはまだ早い。次回最終回はちょっともったいないような気がします。最初のうち、お話がもったりしていただけに、最後が駆け足になっているのではないかと思います。でも、細かいところまで技があるサービス精神は素晴らしい。お話も、キャラクター主導ながら、面白いし。「どんどん変になっていく丹」のあたり、ナイス!
○ 立野真琴「マリィMAX」
無難な滑り出し。過不足無いところは技だけど、あと一押しが欲しかった。でも、セクシーアイドルで大成するのは大変でわ(笑)?
○ 日渡早紀「偶然が残すもの」
面白いけど盛大に物足りないよぅー。せっかくの未来路の話だというのに、消化不良どころか、そもそも消化するべきお話自体が十分に無いんじゃないかな。やっぱり、場つなぎなのか?でも、ぼく地球シリーズのお話ということで、期待は大きくなるばかりだから、応えるのは大変だと思います。

●8月10日●

●岡野史佳「君の海へ行こう」(花とゆめコミックス)

◆岡野史佳と言えば海!海といえばイルカ!イルカといえば岡野史佳!というわけで、待望の「君の海へ行こう」のコミックスです。「瞳の中」以来のイルカものということですが、モノクロの中にあふれるマリンブルーを感じさせるその卓越した技量は素晴らしいものがあります。

◆ただ、今回は3本の短編は、キャラクターは共通しているものの、別々にストーリーが作られているために、ストーリー全体でのまとまりは若干欠けているといえます。これは、隔月刊のララDXに掲載されていたという事もありますし、また、2作目と3作目の間がかなりあいているので、まあ仕方が無いことなのですが。

◆この作品を読んでいると、「瞳の中」とこの作品で、岡野先生のイルカに対する考え方の変遷が感じられて大変興味深いです。岡野先生自体がララDXかどこかで、そういった事をおっしゃられていましたが。一言でいえば、「瞳の中」の頃には、まだ動物との対等なコミュニケーションが単純に信じられていた、という感じ。それが、「君の海」では、自然やイルカってものはもっと自分たちからは計れないもので、そこから何かが「来る」んだ、という。多分、イルカと人間の立場が逆転しています。

◆これは、岡野先生曰く「実際にイルカと一緒に泳ぐという体験をしたから」ということもあるのでしょうが、「瞳の中」の3巻にあった割り切れなさ、というより割り切れすぎてしまった事、に対するアンチテーゼなのかもしれないとも、思います。

◆「瞳の中」がとても興味深かった点に、深青の「孤独」がありました。人との「ずれ」の感覚。そこから、人と動物、人と人のコミュニケーションをとらえていくいう点に面白さがあったのですが、最終巻では、イルカの話とからめて安易といえば安易に終わってしまっていて、その点が残念でした。

◆今回の作品を、再挑戦という視点から見てみると、描写的には後退している部分も見受けられてちょいと残念かな。確かに大自然で体験してしまって「わかってしまう」ことはあると思うのだけど、その体験の大きさに比べて伝えたいという「描写」が釣り合っているかというと、まだ体験に引きずられているのかなと思います。お話にするためには、一度、体験を徹底的に解体しないと、人に伝わる形にはなりにくいので、それはすごく大変なことだと思うのですが。

◆つまり、有無を言わさず理解させられてしまう(=圧倒されてしまう)だけで、それから先が無いという。理屈より前にくるものがある事自体は別に否定されるべき事ではないですが、あと一歩の丁寧さが必要とされていたのではないかと思います。

◆岡野先生の作品はとてもとてもとってもすごーーーく好きなので、かえって評価が厳しくなってしまったかもしれない………。要は、まだまだイルカの話を描きつづけてほしいなぁ、ということなんですが(^^;面白いかつまらないかで言えば、もう圧倒的に面白い作品です。絵を眺めてストーリーを楽しんで、小笠原の海に憧れましょう!(笑)

◆さて、同時収録の作品は「緑のゆびさき」です。冒頭からして圧倒的なセンスを感じさせます。手紙(それが誰から誰への手紙かは追々明かされますが)、薔薇星雲、そしてオープニングビジュアルである「花畑の向こう側に浮かぶ地球」。これだけで、与えられるイメージは鮮烈です。そして、少しずつ色合いを変えてゆく少女。想い。久々に、岡野史佳らしさを強烈に感じる漫画でした。言葉と絵を積み重ねていくことで、不思議なリズムが生まれて、そこから、明晰すぎるほど明晰な世界観が形成されます。そして、その世界観は、とても切実なものとして心に迫ってきます。この鮮烈な感覚を味わいたいがために、僕は、岡野史佳の漫画を読んでいるのです。それに付随する色々なものは、実はその感情に比べたら、たわいもないものです。………そして、印象的なラストシーン。空見(このストーリーの主人公)の持つ不思議な瞳とlovin'youが、心に心地よい余韻をもたらします。

◆この作品は、最近の岡野史佳の短編の中では、最も昔っぽさを感じさせる作品です。岡野史佳の昔の短編(「フルーツ果汁」の最後の頃までのもの)にある、凄まじいまでの切れ味は無いものの、それにもっとも近い(たとえば「君は空のしるべ」などに)作品である事は確か。あの頃に比べて、技法的にはおそらく格段に向上していると思います。だけども、その分テーマの明晰さというものが若干衰えているような気もします。でも、ちゃんとこういう作品もまだ描けることが証明されて、かなり安堵しています。だって、こんな凄い、ある意味宇宙的とも言える作品を描けるのは、岡野先生をおいて他になかなかいないから。とにかく、年に何作も生まれ得ない作品であると断言できましょう。そういった作品を今読める喜びを、かみしめています。

◆実にほぼ2ヶ月ぶりのレビューでした。今度は続くといいなぁ………。(←って気弱になるなよな)

◆ [●●●●●●●●●●] 10/10

●8月11日●

●CLAMP「カードキャプターさくら[3]」(KCDX)

◆毎回、美しいイラストが楽しいCLAMPの最新作です。

◆今回、何が驚いたって、そりゃーもう話が面白かった 事。フォントでっかくして強調までしちゃうくらい。カードキャプターさくらの場合、1巻はまあまあだったのだけど、2巻でお話的に非常に雲行きが怪しかった(と思う)。んで、これはもうストーリー付きの画集だと思って買ってきたので、読んでみてちょっとしたカルチャーショック。

◆まあ、わけのわかんないキャラクターがわけのわかんない登場をしてわけのわかんない反応をわけのわかんない脇役がするあたり、CLAMP作品ならではの独特な味はありますが、今回は、一つ一つのエピソードの連鎖、積み重ねというものが出来てるので、いつもほど鼻につきません。今まで設定に振り回されていた部分も、やっと話に反映されてきて生かされてきているし。

◆絵のかわいさも相変わらず絶好調。話よし、絵よし、装丁も豪華だし、カード型のしおりもついてくるし、死角なしの作品!?これでスタートダッシュに成功していれば………。惜しい。もっとも、アニメ化も決定し、CDドラマ、CDROM、カレンダーなどなど、メディアミックス展開も絶好調。これからいったい、どれだけ投資しないといけないんでしょう。トホホ(笑)

◆ [●●●●●●●●●○] 09/10

●8月14日●

●ささだあすか「恋について語ってみようか[2]」(花とゆめコミックス)

◆LaLaの中でも異色のラブストーリー「恋について語ってみようか」が、遂に完結しました。とにかく、ささだあすかは寡作だったので、なんか感慨深いものがありますね。

◆この巻に収録分の話は、全編がラブラブな話。とはいっても、普通の話にならないのがささだあすかのすごいところ。里香が恋をいちいちどーなのかに思いめぐらす過程は、いかにもありがちに見えて、実はこれほど画期的な試みも無かったのではないでしょうか。だってそれは、いわゆる「想像する」ではなくて、本当に論理的に「考える」という行為だったからね。だから、とても新鮮で、楽しかった。最初の頃のインパクトといい、中盤の(いい意味でね)だらだらした展開といい、終盤にさしかかったにもかかわらずの、のったりとした二人といい、らしさが出ていて良かったです。ラストシーンも印象的で、心に残る作品になりえたと思います。

◆しかし、名セリフが多いストーリーだったと思います。初期の名セリフ「私が瀬戸内海になりましょう!」(読んだことの無い人にはどこが面白いのかいまいち分からないでしょうけども・・・)や、「かっ 香川なんかっ 知らにゃいのだーーー」とか。いわゆるセリフまわしの巧さ、っていうんじゃなくて、なにげないところのなんでもないセリフが良いんですよね。

◆ささだあすかという存在は、ちょっと前までは知る人ぞ知るという感じで、だいぶ昔からLaLaDXとかLaLa本誌を読む人の間ではすごく評価が高かったんだけど、なかなかコミックスが出なかったので、おおっぴらにすすめにくい作家さんでした。これで一作品がちゃんと完結したので、安心して皆さんに薦められますね。

◆同時収録「Q」「空はいつか晴れるでしょう」も良いです。特に、「空はいつか晴れるでしょう」という作品は、個人的に名作だと思います。

◆ [●●●●●●●●●○] 09/10

●8月15日●

●津田雅美「彼氏彼女の事情[3]」(花とゆめコミックス)

◆もはや面白すぎて何も言うことがないです、この作品。でも、それだけじゃ原稿にならないので、とりあえず何か書きます。でも全部蛇足。

◆1巻、2巻までは、3回連載+特別編というのをペースにしていましたが、3巻収録分以降は、毎回連載になりました。そのためか、大分ストーリーのペース配分というか、話の流れが変わってきたような感じ。

◆津田雅美って、今までに掲載パターンが変わるにつれてきちんと、ストーリーのシステムも変わってきてるんですよね。当初の単発掲載の頃には、4作オムニバスの「ブスと姫君」という名作を描いていて、その頃の認識は、この人は短編とかオムニバスの天才だな、という感じでした。その後、「天使の住む部屋」などでバリバリに出来の良い短編を量産していて、短編作家としての素晴らしい才能を見せ付けてました。その究極が「3」かなぁ。んで、次に3回連載で、ちょっと長めの短編というスタイル。「オンナになった日」での試行錯誤を経て「彼氏彼女の事情」で大ブレイク。

◆これだけ色々描いて、どれも隙が無いんだからすごいなぁと思ってたんですが、一つ懸念されたのが長編との親和性でした。短編作家と長編作家って、ランナーと同じで必要としている資質が違うと思いますし。ところが、最初のうちこそペース配分に迷いがみられた部分もありますが、津田雅美は、あっさりと長編モードのペースになっています。これにはちょっと驚きました。

◆こうなってくると、野球ゲームの「パワプロ」でイチローを相手にしているピッチャーみたいなもんで、どこに投げても打たれちゃうという感じですよね。ってもっとわかりやすいたとえを使えって感じですが、ってゆーか別に「パワプロ」である必然性があまりないんですが、とにかく死角無し!なのかな、と。現時点で、苦手としている分野は無いのでしょうか。別に無くて悪いわけじゃないですけど(^^;

◆とりあえず、読んでない人は人生の大損失なので、可及的速やかに読むことをお勧めします。少なくとも、死ぬまでには読んでおくべきでしょう。みたいな。最後に声を大にして言いましょう。「死ぬ前に読め!」

◆ [●●●●●●●●●●] 10/10